40代になり、自分の人生において最も時間を注ぎたいことがより明確になるにつれ、当たり前かもしれませんが「寿命は短いより長いほうが絶対にいいな」と感じるようになりました。
人生の充実感は、如何に自分自身の興味・関心の領域で成し遂げるかにかかっており、寿命に依存しないと考えることはできますが、やりたい事が見つかった今、それを人生においてできる限り長く続けたい!という欲が強くなっています。
なので、”今この瞬間をできる限り無駄にしない”、且つ、”日々の食生活において健康寿命を延ばす最大限の知恵をアップデートしながら盛り込む”というスタンスは、生涯継続したいと考えています。
後者(太字)については、家族、及び、周りの人に対し、実践済の知恵を伝えていくこともできるので、このスタンスは崩したくないと考えています。
今日は、健康寿命を延ばす知恵についての情報を取り上げたいと思います。
イタリア「100歳以上」が多い島の食事健康法
人生100年時代、「健康」はわたしたちの大きなテーマです。ちまたには、“健康と若々しさを保つ”ための情報があふれていますが、中には根拠が不明なものも見受けられ、結局どれを信じればいいのか混乱してしまいがち。
そんなあまたの情報の科学的根拠を検証し、発信しているサイエンスジャーナリストの鈴木祐氏に、「本当に若返りに効果のある食材」を聞きました。
※本稿は『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』より一部抜粋・編集したものです。
“常識を超えた若さ”を保ち続ける人々
イタリアのサルデーニャ島をご存じでしょうか? 100歳以上のご老人の割合が世界有数の高さを誇る“超長寿エリア”です。それぞれが家族や友人と強い絆を持ち、歌や料理などの趣味を愛しながら死ぬまで働き続けて人生を謳歌しています。
また、南米ボリビアに住むチマネ族という原住民は、心臓病にかかる人が少なく、狭心症、心筋梗塞、動脈硬化などの現代人を悩ませる病気の発症率は限りなく低いそうです。80歳を過ぎたチマネ族の血管年齢は、先進国における50歳と同じレベルだったというから驚くばかりです。
彼らのように“常識を超えた若さ”を保ち続ける人々のライフスタイルを参考に、自身もいつまでも健康で若々しくありたいと思う人は多いでしょう。そんな私たちの「不老長寿」の願いをかなえるべく、科学者たちは研究を重ねてきました。
今回は、科学的に裏付けされたアンチエイジング(抗老化)の手段の中でも、近年、注目されている「AMPK食事法」を解説しましょう。
AMPKとは「肉体を効率よく使いなさい」と命令を出す「燃料センサー」のような役割を持つ酵素の一種で、このAMPKに働きかけることで、細胞のエネルギーシステムを調整します。
この「AMPK食事法」の大きなポイントが「フィトケミカルの導入」です。
フィトケミカルとは、植物に含まれるポリフェノールや含硫化合物(がんりゅうかごうぶつ)、カロテノイド、テルペン類、多糖類などの成分で、あなたの体内で「軽微な毒物」として働き、AMPKを通してホルミシスの活性につながります。
なかでも、最も簡単にAMPKを活性させられるのは、ポリフェノールの導入です。植物のポリフェノールは人体に毒として働き、AMPKを刺激。エネルギー効率やDNAの修復能力の改善、ミトコンドリア生合成の刺激など、私たちの肉体を細胞レベルから若返らせてくれます。
サルデーニャ島の百寿者も日々ポリフェノールを摂取しており、たとえばタンザニアのハッザ族が食べるコンゴロビやバオバブといった果物に含まれるポリフェノールの量は、先進国で消費されるベリー類に比べてなんと20倍にもなります。
サルデーニャ島の高齢者もブラックベリーやミルト酒(ミルトとは、サルデーニャの森に自生する古代からのハーブの1種)をたしなむことで、ポリフェノールの1種であるヒドロキシチロソールなどを大量に摂取しています。ポリフェノールの増量は、アンチエイジング食の第一歩と言えるでしょう。
ポリフェノールが最も豊富な食品は?
ポリフェノールが豊富な食品については、2010年のオーヴェルニュ大学論文が調査を行っています。過去に出た数千以上の調査からポリフェノールが豊富な野菜や果物を100種に絞り込んだもので、上位にランクインした食品は表のとおりです。ポリフェノールを増やす際の参考にしてください。
基本的に最も量が多いのはスパイスやハーブ類ですが、いつもの料理で大量にバジルやターメリックを使うのは難しいかもしれません。カロリーとのバランスで言えば、ベリー類、コーヒー、緑茶などでポリフェノールの総量を上げながら、トマトやビーツといった赤紫色の野菜を増やすのが現実的でしょう。
さて、ここで難しいのが「1日にどれだけのポリフェノールを取るべきか?」という問題です。ポリフェノール研究はまだ日が浅く、明確な摂取量のガイドラインが存在しません。いまのところは、観察研究などから最適量を推測していくしかないでしょう。
現時点で最も参考になるのは、エディスコーワン大学が5万6048人を23年ほど追いかけた2019年の調査です。その結論は次のようものでした。
・ポリフェノールを取るとがんや心疾患による死亡リスクが10~20%の範囲で低下する
・ポリフェノールの摂取量は1日500㎎前後で最大化する「1日500㎎のポリフェノール」は、ブルーベリー100〜150g、緑茶1杯、リンゴ1個、オレンジ1個に相当します。これぐらいの量なら簡単に達成できるでしょう。毎日の暮らしで積極的に取り入れてみてください。
AMPKを刺激するには、「含硫化合物」を増やすのも良い方法です。ポリフェノールと同じく植物が外敵から身を守るために作り出した成分で、やはり体内で軽度の毒として作用します。スルフォラファン、イソチオシアネート、アリシンなどが有名で、強い風味と香りを持った成分が多いのが特徴です。アブラナ科のような苦味の強い野菜や、すりおろすと鼻を刺す香りを発する野菜などは含硫化合物を含むことが多く、AMPKが活性しやすい傾向があります。なかでも効果が高い食品を見てみましょう。
効果が高い食品3種類と効果的な食べ方
・ショウガ:ギンゲロールやショウガオールなどの抗酸化成分を含み、複数の試験でアンチエイジング効果が認められています。おもなメリットとしては、減量のサポート、コレステロールの改善、体内の炎症レベルの緩和など。いずれも精度が高いメタ分析で効果が示されており、機能性の高さは間違いありません。1日0.5gを目安に食べるのがおすすめです。
ただし、生のショウガは有効成分が減りやすく、すぐに食べないとメリットが失われてしまうのが難点。それが面倒なら、市販のショウガパウダーを使ってください。
複数のメタ分析によれば、1日にショウガパウダーを1~3g、またはショウガ抽出液を50㎎ずつ摂取すれば、およそ12週間でアンチエイジング効果が得られるようです。
・ニンニク:ショウガと並んで優良なデータが多い食材で、おもなメリットとしては、大腸がんリスクの減少、高血圧の改善、糖代謝の改善など。前述の「アリシン」という香気成分にAMPKの活性作用があり、やはり複数のメタ分析でいい結果が報告されています。大多数の試験では3600~5400mcgのアリシンを使っているため、アンチエイジング効果を得るには、1日4gのニンニクを食べればいい計算です(小さじ1杯程度)。調理が手間ならチューブニンニクやガーリックパウダーを使っても構いません。
ほかにも、タマネギ、ネギ、ニラなどのネギ属野菜は、すべてアリシンを含む優良な食材です。ニンニクをメインに使いつつ、季節に応じて他の食材も増やしてみてください。
・ブロッコリー:スルフォラファンという苦味成分のAMPK活性作用が強く、こちらも積極的に取り入れたい食材です。実験データには抗がん作用を示したものが多く、肺がん、乳がん、大腸の悪性腫瘍などの予防効果が複数のメタ分析で示されています。
その他、ブロッコリーほどのデータはないものの、白菜、キャベツ、ダイコン、ワサビ、ケール、小松菜といったアブラナ科の野菜も、AMPKを活性しやすい優良食材です。約9万人の日本人を17年追跡した大規模な調査でも、アブラナ科の野菜をよく食べる人は心疾患やがんの死亡リスクが14%低下しており、ますます評価を高めつつあります。
アブラナ科の野菜を取り入れる際は、調理法に気をつけてください。スルフォラファンは熱に弱く、フライパンで少し炒めただけでも量が激減します。キャベツや小松菜ならまだしもブロッコリーの生食には抵抗があるでしょうが、細かく刻めば意外と問題なく口にできるものです。よほど味が苦手でない限りは、生食を心がけてください。
含硫化合物が豊富な優良食材は以上です。どの野菜を食べるべきか考えるのが面倒なら、「苦味が強い食材を1日1品食べる」ぐらいの認識で構いません。
ぜひ、毎日の食事に取り入れ、健康と若々しさを手に入れてください。
(鈴木 祐:サイエンスライター)
※東洋経済ONLINEの2021年3月27日の記事(https://toyokeizai.net/articles/-/419207?utm_source=gunosy-kddi&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article)より抜粋
実験で裏付けられた情報がほとんどなので、参考になる情報が多いです。
ただ、ポリフェノール含有量のデータは”100gあたり”となっているため、一回の食事でどのくらいの量を摂取するかに依存するので、自分自身での計算が必要ですね。
ショウガ、ニンニク、ブロッコリーはその効果を最大にするためにも、調理法は気をつけたいと思いました。
あと、抜粋記事中に、気になるハーブ名が二つ(コンゴロビ、ミルト)がありますが、前者は日本語名ではヒットせず、後者は、ギンバイカ(マートル)のことだとわかりました。