”ハーブ大量処分”をせざるを得ない奈良県のハーブ農家の言葉から感じたこと

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先日、コロナの影響で需要が減退したことにより、ハーブ農家が育てているハーブを廃棄して肥料にしているというニュースを見て思ったことを記事にしました。

【先日の記事:コロナの影響で、農家がハーブを廃棄して肥料にしているというニュースを見て思ったこと。】(2021年1月22日)

私としては、肥料にするという選択肢よりは、B to Bだけではなくて、B to Cにも(インターネットを使って)販路を広げることで農家にとっての売り上げ減少のダメージを和らげることができるのではないか感じました。

最近はスーパーの中でのハーブ売り場面積が確実に拡大しているので、一般消費者のハーブの活用が進んでいるという認識があるため、メルカリ等のプラットフォームで販売することは、ハーブ農家と消費者の双方においてメリットがあると思ったからです。

一方で、同じコロナの影響でハーブの需要が減退し、”大量処分”をせざるを得ない奈良県のハーブ農家の現状を取り上げた記事を見つけました。(以下)

大切に育てたハーブを『大量処分』協力金ももらえない生産者の”踏ん張り” 大阪の時短営業の影響大きく

大阪府・京都府・兵庫県に緊急事態宣言が出されてから1月20日で1週間が経ちました。苦境に陥っているのは時短営業を要請された飲食店だけではありません。協力金が出ず、厳しい状況に追い込まれている人たちがいます。

「つらい」フレンチレストランの現状

大阪・ミナミにあるフレンチレストラン「ドゥアッシュ」。広い店内の一階は吹き抜けになっていて、開放的な空間で本格派のフレンチを楽しむことができます。この店のシェフ・中田貴紀さん(47)。全国の料理コンテストで数々の賞を受賞してきました。
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(ドゥアッシュ 中田貴紀シェフ)
「少しでもくつろいでいただけたらというのが店のコンセプト。僕のこだわりは個性ですね。この店でしかないようなもの。農家さんにも直接足運んで、わがまま言って、いろんなものを作ってもらってとかしてね。」

2002年にオープンしたこの店をシェフとして守ってきましたが、2020年の売上げは4割も減少。新型コロナウイルスによって最大の危機に直面しています。

(ドゥアッシュ 中田貴紀シェフ)
「料理人に料理するなというのはすごくつらいこと。経営状況は真っ暗ですよね。今は耐え時なのかなと。どうしようもないのでね。」

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感染対策として、席数を大幅に減らして客同士の距離を2m以上開けるようにしました。さらに、1月13日に出された緊急事態宣言で午後8時までの時短要請を受け、ディナー営業を自粛。店を守るための苦渋の決断でした。

(ドゥアッシュ 中田貴紀シェフ)
「料理を早く出して、早く食べてください、食べたらもう帰ってください、ということがとてもつらいですよね。」

中田さんが手がけるフレンチにはバジルなどのハーブが欠かせません。しかし、売り上げの減少とともに、仕入れも大幅に減らしました。
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(ドゥアッシュ 中田貴紀シェフ)
「ハーブはお客様のニーズに比例していくので仕入れは激減ですね。つらいですからね。仕入れ業者さんが来た時に。」

さらに厳しい状況にある“生産者”

そのハーブを作っている生産者は、さらに厳しい状況に追い込まれています。奈良県葛城市でハーブ農園を経営している寺田昌史さん(52)。ここではバジル・パセリ・ミント・レモンバームなど年間約100種類のハーブを育てています。寺田さんが作るハーブは主に大阪市内の飲食店約40店舗に出荷されます。しかし…。

(寺田農園 寺田昌史社長)
「普通に廃棄したらかさ高いし腐っていくから、下で、できるだけ乾かして。これも全部ロスですね。断腸の思いで。あかんと思ったら処分して。」

大切に育てたハーブも、長期間放置されると枯れてしまい、地面に捨てられます。その量は日に日に増すばかりです。コロナの影響で取引先が激減したからです。ハーブの売り上げも3割以下まで落ち込みました。

(寺田農園 寺田昌史社長)
「水耕栽培のランニングコストがどうしてもついてくる仕事ですし。これがいつまで続くかと言われたら、少し不安にはなりますね。」

時短要請を受けた飲食店と取り引きがあっても、生産者は協力金の支払いの対象には入っていません。

“ハーブ料理を身近に”地元シェフとの取り組みも

国は、売り上げが減った生産者などにも最大40万円の支給を決めていますが、それだけでは経営が成り立たないという寺田さんは、次の一手を考えています。

(寺田農園 寺田昌史社長)
「ハウスキッチンを作って、一般の人でも作れるような簡単な料理を作って、それをYouTubeやSNSで配信できたらなと。」

ビニールハウスの中に設置されたキッチン。コロナの影響で廃業した飲食店から譲り受けました。地元のシェフ・澤井隆太さんに協力してもらい、ハーブを使った料理を動画で紹介します。
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これまで取り引き先は飲食店だけでしたが、ハーブに馴染みがなかった一般家庭での需要を得ることが狙いです。

(寺田農園 寺田昌史社長)
ハーブは一般家庭には全然浸透していないですよ。日常から慣れ親しんでもらったら結構出回ると思います。農家は疲弊しているかもわからんけれど、外食産業も疲弊しているかもわからんけれど、何もしないよりは1歩でも2歩でも進めることやからね。」

※MBSの”Newsミント!”の2021年1月21日放送分の文字起こし(https://www.mbs.jp/mint/news/2021/01/22/081688.shtml)から抜粋。

上記抜粋記事(文字起こし)の動画は、以下のリンクから見ることができます。

時間をかけて丁寧に育てたハーブが消費者の口に届く前に廃棄せざるを得ないという内容を見ると心が痛みます。

一方で、このニュースを見たときに、日本のハーブ農家はほぼ”飲食店”を相手としていれば経営が成り立っていたとも読み取れます。

その条件の下では、ハーブ農家がキャッチするニーズは、「フランス料理にこのハーブのこの部位が重宝されている」等の情報が多くを占め、一般家庭でのハーブの活用ニーズの情報が少なかったのではないかと想定できます。

私は、寺田昌史社長の「ハーブは一般家庭には全然浸透していないですよ。」という言葉は、ハーブ農家が放つ言葉としてズキンと響きました。

”なぜ全然浸透していなかったのか?”と考えた場合、外食産業が極度に発達している日本であるが故に、生産者側の努力が、一般消費者のニーズに向いていなかった部分も大きいのではないか?という仮説を要因の一つとして持ちました。

コロナという外的要因によって、日本の(キッチン)ハーブ産業の実態が少し浮かび上がったように思います。

しかしながら、この状況をきっかけに、ハーブ農家側の視野が大きく広がっているようにも感じますので、今後に大きな期待を持てる内容の記事でした。

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