【ドイツInfarmとJR東日本が提携】店頭で野菜・ハーブを栽培して直販するモデルが普及しそうです。

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ちょうど、先月、以下の記事の中で、オランダ最大級の外食産業展示会「HORECAVA」にて、食品ロス対策や環境対策におけるイノベーションが進んでいることについて取り上げました。

【過去の参考記事:オランダの環境問題におけるイノベーションに目から鱗。様々な国における環境対策の知恵はシェアしあう必要性を感じます。

この記事の中で、個人的に注目していたのは、レストランへ小規模コンテナと棚を貸し出して、自社栽培したハーブをお客さんに提供する仕組みを構築しているhrbs社の取り組みでした。

「野菜・ハーブの輸送にかかる手間とコストと環境への配慮をし、新鮮なものをお客さんに提供」という合理的なコンセプトに共感をしたからです。

この内容を見たときに、今後日本の中でもこんなモデルが普及していくんだろうと思っていたところ、、まさにその一か月後の今日、そのニュースが突然舞い込んできました。非常にインパクトのあるニュースだと思いますので、早速以下に取り上げたいと思います。

ベルリン発、農地スタートアップがいよいよ日本進出。スーパーと農業を変える

パリやベルリンのスーパーマーケットを「農地化」するスタートアップが次にターゲットとするのは、日本だ。

2013年に創設されたベルリン発スタートアップ「インファーム」は、ヨーロッパのスーパーマーケットを中心に垂直型農法を取り入れたサブスクリプション型の農地栽培、販売サービスを手がけている。

インファームは2020年夏より東日本鉄道会社(JR東日本)と組み、JR東日本が所有する紀ノ國屋の店舗にて栽培・収穫された新鮮な各種農産物を提供することを発表した。アジアで初めてのパートナーシップ契約となる。

紀ノ國屋の堤口貴子社長は、今回の契約についてこう語る。「紀ノ國屋にとっての新しいチャレンジで、究極の地産地消であり、他社との差別化のカギとして期待している。合わせて今問題となっているフードロス対策に会社として取り組んでいきたい

インファームはスーパーなどで直接農作物を育て、買うことができるサービスを作った。農地を縦型に配置し、都市の狭い空間をうまく利用している。栄養たっぷりの水や太陽の代わりとなる紫色のLEDライトを使用して、どんな天候下でも栽培できる環境を作っている。生産地から消費地までの距離が長いことによって起こる弊害をなくすためだ。

また、農地の「システムと管理」する体験を売ることにより、顧客とともに「何をどれくらい育て、いつ収穫するのか」を計画し、すべての農地をクラウド上でつなげた。味や風味、栄養価が最大限引き出されるよう、専属のスタッフたちが、24時間遠隔で管理する。「2020年東京進出予定 ベルリン発「都市農業」スタートアップとは」より)

今回の新たな挑戦について、来日中のインファーム創業者オスナット・ミカエリに話を聞いた。

━━日本を次のターゲットに選んだ理由はなんですか?

日本市場に参加した理由はたくさんあります。まず、農家の高齢化という問題の解決になるチャンスがあるからです。日本では農家の平均年齢が非常に高く、農業に就こうと考えている若者はほとんどいません。しかし、私たちのサービスを通して、もっと若い世代が気軽に農業に参加できるようになります。

次に、他国と比較して日本人は野菜をたくさん食べる傾向があります。生鮮食品に対する需要がたくさんあり、それが私たちにとって大きな市場と捉えています。

最後に、日本のフードロス解決につながります。日本で無駄な食べ物をなくすための費用は、年間2兆円といわれています。これはアニメ市場と同じ規模なのです!インファームにより、農家と消費者との距離をなくすことで、食べ物はより新鮮になり、無駄が減ります。現在、消費者の手に届くまでに50%以上の食糧が廃棄物となっているという現実があります。

━━海外展開も進み、インファームがここまで成功している理由はなんでしょうか?

インファームは、食品配送の課題に取り組むための持続可能なアプローチを提供しているからです。

近年、世界中の投資家が環境問題に対する持続可能な解決に取り組むイノベーションに注目しています。これらは多くの国や地域が現在みている課題であり、私たち全員にとってますます緊急性を帯びています。特にインパクト投資(社会的成果と財務的リターンの両立を目指す投資)に焦点を当てた投資家から関心が寄せられています。この分野もベンチャーコミュニティ全体で勢いを増しています。

━━このビジネスアイデアはどうやって思いつきましたか?

私を含めた創業者の3人は、消費者が農地に近いことが人々の健康と創造性に不可欠であるという考えで一致していました。そこで地元の農場の自然な活力を都市に持ち込む方法を探り始めました。インファームでは、物流全体を最初から最後まで見直したかったのです。

都市の外に大規模な農場を建設し、特定の収穫高を最適化してから農産物を配布する代わりに、都市全体に農場自体を配布することがより効果的であると判断しました。

2013年には、1955年製造のトレーラーを最初の垂直農場に改造しました。このトレーラーは、訪問者がハーブやマイクログリーンを収穫できる初期の実験のハブになり、まちづくり事業者や食品関係者などの活気あるコミュニティとなりました。これにより、都市農業を現実にするための課題を探ることができました。この研究ステーションは、インファームの始まりです。

━━この会社のゴールはなんですか?

欧州をはじめ、日本を含むその他のグローバル市場に事業を拡大するなかで、インファームのアプローチは現代の農業および生態系の緊急課題に取り組むための1つの方法にすぎないと感じています。これらの課題解決には、業界全体での革新とコラボレーションが必要です。

そのことを念頭に置きながら、今後数年間にわたって、流通センターから食品メーカーまで、学校から病院、さらにその先へ、システム全体を変える技術、プロセス、専門知識を提供できるFarm-as-a-service(サービスとしての農業)モデルを構築しています。自給自足な都市を実現するためです。

マクロの視点で見ると、このインファーム社の取り組みは流通の過程で生じる様々な側面での社会的コスト(食品ロス、CO2排出等)を抑えることが可能になると思います。

また、消費者にとっては、画一化された栽培手法であっても、店舗の中で栽培されていた野菜やハーブをすぐに購入して食べられるというのは、新鮮でおいしく、ありがたいサービスだと思います。

今年の夏から、紀伊国屋で、このインファームのサービスを通じて、店舗内で栽培した商品を販売する取り組みを開始するというのは非常にワクワクします。

今後、社会が大きく変わっていく予感がし、大きな期待を持ちたい領域です。

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