2018年の夏に、AEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)主催の”第4回 アロマ大学 in 東京”というイベントに参加した際、モデルのNOMAさんの「アロマフレグランス学科 」の講義を受講してきました。
【過去の参考記事:「第4回 アロマ大学 in 東京」のアロマフレグランス学科でNOMAさんの授業を受けてきました】
この時に、NOMAさんのハーブ・アロマに対する知識の深さに感銘を受けたのですが、
その数か月後、NOMAさんがVogue JAPANの【モードな植物哲学】というシリーズの連載の中でインタビュアーとして担当していることを、以下の記事を取り上げた際に知りました。
【過去の参考記事:自律神経に働きかける様々な香りについて、男性フィトセラピストが語る内容が参考になりました。】
ハーブ・アロマ領域の専門家とNOMAさんのやり取りが非常に面白く、今後もこのシリーズは目が離せないと思っていました。
そんな中、先日、その【モードな植物哲学】シリーズの中で、シアバターの専門家とNOMAさんの対談記事を見つけたのですが、目から鱗の情報が多かったので取り上げたいと思います。
保湿だけじゃない、シアバターの力。【モードな植物哲学】
BY KYOKO TAKAHASHI
2020年1月17日
植物は日々私たちのそばにあり、取り巻く環境と生活を豊かにしてくれる。モデルのノーマ(NOMA)をインタビュアーに迎え、植物の知られざるパワーを解明する連載第13回目。今回は、NY・ロウアーイーストサイド発のオーガニックブランド「Amikole」の創設者に、シアバターの魅力とパワーについて聞いた。どんな状態の肌も優しくケア。不鹸化物質のシアバター。
Amikole(アミコレ)の製品を語るうえで絶対に欠かせないのが、シアバター。1990年代、アミコレさんは18歳の時にセネガルの野外市場でシアバターに出会い、以来、その肌を柔らかくし保護する効果の虜に。薬草学を習得し、シアバターを原料としたエシカルなスキンケア製品づくりを始め、今に至る。
シアバターとは、アフリカに生息するアカテツ科・シアの木の実から採れる植物性油脂のこと。現地では昔から民間療法の薬草として親しまれ、火傷や筋肉痛のほか、紫外線による乾燥から肌を守るためなどに広く使われてきた。
「シアバターにはさまざまな美容効果があると言われているけれど、特に注目しているのは?」(ノーマさん)
「シアバターは不鹸化物質、つまりアルカリで鹸化されないオイルであるという点です。pHバランスが崩れているアルカリ性に傾いている肌に、鹸化物質のオイルをつけると反応して、鹸化してしまう。肌をしっとりさせるどころかむしろ乾燥させてしまうことができる。一方、不鹸化物質のオイルであるシアバターは、どんなpHレベルの肌であっても潤すことができる。どんな状態の皮膚にもいいと言えるのが、シアバターのもっとも優れた点のひとつだと思います」(アミコレさん)
シアバターにはビタミンA やB、Dが含まれ、さらに肌のコラーゲン生成を促すことも科学的に証明されている、とアミコレさんは話す。
「シアバターはそれだけで肌に十分な栄養を届けてくれるから、製品のテクスチャーを変える目的以外では、他の種類のオイルを追加する必要がありません。私の製品はシアバター、エッセンシャルオイル、そしてアロマテラピーの要素を加えるハーブのみでできています」(アミコレさん)
“自然のステロイド”も有する万能な天然美容液。
アフリカに生息する、シアの木。
「シアバターを塗布してマッサージすることにより、肌の老化を軽減する作用が期待できるというのは本当ですか?」(ノーマさん)
「そうなの、ぜひシアバターを使ってマッサージをしてほしいわ! マッサージをすることで循環器系が刺激され、新鮮な血液や酸素が巡るし、シアバターをつけるときに自分自身に触れるでしょ? それもものすごく大切。特に脇の下を直接触ってマッサージすることはとても重要。脇の下にはリンパ腺があって、リンパを通って身体に入っていく悪い物質を、シアバターでマッサージすることによって排出することができます!」(アミコレさん)
さらに、シアバターにはススチマステロールという植物ステロールが含まれているのも知って欲しいと、続ける。
「筋肉・関節のストレスや怪我、関節炎のような病気による痛みを和らげる効能があるとされています」(アミコレさん)
「“自然のステロイド”がシアバターに入っているとは知らなかった。驚きです! 日本では多くの人がアトピーに悩まされていますが、シアバターはそういう人たちにも良さそうですね」(ノーマさん)
「肌の乾燥に対してはシアバターはとても効果的だと思います。ただ、アトピーの場合は、同時に体内にも働きかける必要があると思います。例えば、ごぼうやクローバーなど、体内の奥の機能に働きかけたり体内を掃除してくれるハーブも同時に取り入れて」(アミコレさん)
スチマステロールや不鹸化により、肌の保護と治癒力を促し、同時に炎症を和らげる効果もあるとされるシアバター。アミコレさんは、「よく『シアバターって重曹に似ている』と人に言うんですよ」と笑う。
「重曹ってクッキーにもパンにも使われているし、消臭用に冷蔵庫にも使われるし、トイレ掃除もできる。つまり重曹もシアバターも、万能のアイテムだという意味です」(アミコレさん)
“目を通して”世界の女性に触れるようなモノづくり。
「オフィシャルサイトの動画で、あなたが“製品を通してお客様の肌に触っている”とおっしゃっていたのが、すごく好きです」(ノーマさん)
「ありがとうございます! ユダヤ教やイスラム教、仏教には、神の目があなたを見ると、その目を通してあなたに加護が与えられる、という考えがあるでしょう? 私がプロダクトを作るときには、この“目を通して”という感覚に近い、どこかスピリチュアルなものを感じています。自分の手で触れて作り上げた製品を誰かが使うときに、まるで私がその人に寄り添ってあげられるような感覚になれる物作りが好きです。大型の機械で大量に作るのとは違う、手作りの良さかもしれません」(アミコレさん)
「新作のクレイワックスには何が配合されているのですか?」(ノーマさん)
「1作目はシアバターに、レモングラスとパチョリ、ココナッツオイル。2作目として新しくカルダモンとライムのものを作りました。髪や頭皮にはもちろんですが、デオドラントとしても使えるんですよ」(アミコレさん)
「とてもいい香りですし、柔らかいテクスチャーも最高です」(ノーマさん)
2019年の夏に発売されたLemon-Patchouliのシアクレイワックスは、特にヘアをボリュームアップさせたい人に人気で、発売から3週間で完売したのだそう。
自分の感性を信じ、エッセンシャルオイルをブレンドして。
Amikoleに欠かせないハーブの一つがセージ。
Amikoleの製品の多くは、シアバターを軸に、エッセンシャルオイルやハーブを配合。例えば、使うと穏やかな気分を感じられるとして人気の保湿クリーム「BLISS SHEA BUTTER」にはセージとバジル、ラベンダー、ゼラニウム。柑橘系の上品な香りが漂う、髪の毛先や指先、顔やボディなど全身に使える保湿オイル「BLOSSOMING ROSE SHEA OIL」にはローズとラベンダー、プチグレン、べルガモットが使われている。どれも、アミコレさんのオリジナルレシピだ。
「あなたの作るエッセンシャルオイルのブレンドは本当に特別です。例えば、『Blossoming Rose』の香りの表現。バラが本当に地面から生えている瞬間を切り取ったような、バラ全体を感じられます。どうやってブレンドの種類を選ぶのですか?」(ノーマさん)
「配合は正直、いい香りになりそうなものを感覚的に合わせるだけ。トライアンドエラーを繰り返しています。最終的には、20個くらいのサンプルを作って皆の感想を聞いて、一番評判が良いものを選びます。でもね、基本的に全て植物だから、どのように混ぜても良い香りがすると思う。自由に、自分の感性のおもむくままに安心してミックスできます(笑)。正直、私の調合が特別なのかは謎。単に皆が人工的な香りに慣れているから、Amikoleの自然の香りに新鮮さや特別感をもつだけなのかもしれません」(アミコレさん)
アミコレさんの「世界中の女性をシアバターできれいにしたい」という“目”がひとつひとつの製品に入り、特別な香りを放って私たちを魅了するのかもしれない。
話を聞いたのは……
アミコレ
18才のとき訪れたセネガルでシアバターと出会い、その効果に魅了される。その後、薬草学を学び、1997年にAmikoleの前身となる「Amikole’s Shea Butter」を設立。「Less is more」を信念に、最高品質のシアバターとエッセンシャルオイル、ハーブのみを使用した製品作りを続ける。2009年には文化人類学の博士号を取得。ニューヨーク大学などで教授として教鞭をとる傍ら、ハーブ学やヨガのクラスも受け持つ。https://amikole.stores.jpインタビュアー
NOMA
モデルとして幅広いジャンルの雑誌や広告、映像等を中心に活躍。日本人の父とシシリア系アメリカ人の母の間に生まれ、佐賀県で自然に囲まれて育つ。2011年にアジア圏やアフリカ諸国など、世界各地を巡った旅を綴ったエッセイ本を執筆。アーティストやアパレルブランドとのコラボ制作やダイニングレストランやカフェのプロデュースも手がける。趣味は植物はじめ自然科学を探求する旅、ポラロイド。@noma77777llustrations: MIZUKI Text: Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai
※VOGUEの2020年1月17日の記事(https://www.vogue.co.jp/beauty/article/2020-01-17-botanical-philosophy-shea-butter)より抜粋
この内容に触れて、今後、自分で試したり、妻と娘に使用を提案してみて、フィードバックを聞いてみたいと感じました。
凄い内容だと感じましたが、自分自身で確認しつつも、身近な周囲からの感想を聞きながらしっかり検証していくプロセスが、人に勧める上で必要不可欠だと感じています。
シアバターのWikipediaのページを見ると、幅広い視点でシアバターのことを捉えることができますので、以下にリンクと目次を貼ります。
今回、アミコレさんとNOMAさんの記事に触れることができたおかげで、シアバターの持つ大きなポテンシャルに触れることができました。
まずは実際に、様々な場面でシアバターを活用しつつ、色々な視点から検証をしていきたいと思います。(先程購入しました)