今まで、地域おこしの観点で、地方自治体が地元の企業や大学と連携をして、特定のハーブを特産化していく動きについて取り上げたことがあります。
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あくまでも、官がハーブ・アロマの領域に絡むケースにおいては、「地方政府」というのが定番で、日本の中央省庁が直接絡むということはありませんでした。
しかしながら、一昨日、農林水産省の2つの外局のうちの一つである「林野庁」がついにアロマの領域に本格的に踏み込んできたことを知らせるニュースが入ってきました。
その内容が興味深いのでご紹介します。
「森林サービス」創出 健康需要で産業化へ 林野庁
林野庁は、森林空間を活用した「森林サービス産業」の創出に乗り出した。森林空間そのものを活用し、これまでの木材生産・供給だけでなく、健康需要などを見据えて森林体験や商品開発で新たなビジネスを生み出し、山村地域に新たな雇用と収入を生み出すのが狙い。どれだけ多くの民間団体・企業の参入を促し、定着させることができるかが鍵となりそうだ。
同庁は、健康志向の高まりに加えて、企業が従業員の健康管理を考える「健康経営」の考え方が広まっていることや、インバウンド(訪日外国人)需要が伸びていることに着目。「健康」「観光」「教育」の観点で森林を活用して、新たな需要を取り込むのが「森林サービス産業」の狙いだ。子育て層を対象にした森林体験、企業の研修・保養利用などを想定する。
具体策を検討するため、同庁は有識者らでつくる森林サービス産業検討委員会(委員長=宮林茂幸東京農業大学教授)を設置。①エビデンス(効果)②情報共有③香イノベーション──の専門部会で議論に着手。19年度中に報告書を取りまとめ、20年度以降、モデル育成を本格化させる。
香イノベーション部会では、スギやヒノキなどを精油の原料として有望視。新たな市場形成を見据え、精油の効用やアロマテラピーでの使用状況などを調査する。
エビデンス部会は、森林浴などが健康に与える効果のデータを集積し、事業化を後押しする。今年度は研究成果などの情報を集める。
情報共有部会では、森林サービス産業に関心を持つ企業や団体、自治体などを引き合わせるプラットフォームの創設を構想。同庁は「Forest Styleネットワーク」を発足した。12月3日時点で63の企業や団体、地方公共団体などが加入。今後、新たな事業が生まれるきっかけを生み出す交流の場としたい考えだ。
同庁は「民間や自治体と協力し、モデル地域の育成を進めていく」(森林利用課)としている。
※日本農業新聞の2019年12月15日の記事(https://www.agrinews.co.jp/p49495.html)より抜粋
このニュースは、アロマ業界にとって大きなインパクトを持っていると思います。
日本のスギ、ヒノキ、ヒバの香りは貴重な国の資源と感じており、且つ、林野庁は自身が管理している国有林だけではなく、民有林に対しても長期の森林計画などを作っており、幅広く影響を持っているので、ビジネスとしての国産アロマ需要の喚起が本格化する上でのトリガーに成りうると考えているからです。
日本のおけるアロマ業界が来年にかけてステージが大きく変化していく予感もしてきており、期待交じりのゾクゾク感が芽生えてきました。