「ベルガモット精油の香りで免疫力がアップする可能性」が見えてきた”国立スポーツ科学センター”の実験について

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このブログにおいても、過去に、公益社団法人 日本アロマ環境協会(略称:AEAJ、東京都渋谷区)をはじめとする幾つかの団体が行なったハーブ・アロマに対する実験のことについて取り上げてきました。

ハーブ・アロマの効果・効能については、”昔からの言い伝え”をベースに語られていることが多いというのは、関わる時間が増えていくにつれて感じてきているのですが、それと同時に、その効果・効能を科学的なエビデンスを基に証明していくという流れが徐々に加速しているとも感じています。

実験結果によって、”昔からの言い伝え”が、科学的な見地では間違っていたというのは今のところ聞いたことがないので、100年単位で人々が積み重ねてきた知恵の確実さというのも痛感しているところです。

そんな中、先日、ベルガモット精油に関する実験についての情報を目にしたのですが、興味深い内容だったのでご紹介します。

ベルガモット精油の香りで免疫力がアップする可能性
精油の香りが免疫やストレスに与える影響を実験で確認

公益社団法人 日本アロマ環境協会(略称:AEAJ、東京都渋谷区)は、AEAJが研究助成を行った学術論文より、最新のトピックスを紹介します。
国立スポーツ科学センターの研究員、枝伸彦氏他が行った実験では、ベルガモット精油を30分間嗅ぐことで、唾液中の分泌型免疫グロブリンA(からだを細菌やウイルスなどから守る、体内の抗体の一種)の分泌速度が有意に増加するとともに、コルチゾール(ストレスを受けたときに増加するホルモン)濃度が低下することが確認されました。
 

【研究概要】

対象・・・健康な成人男性16名

精油・・・3種類<ベルガモット、他2種>

測定方法・・・精油を噴霧した空気※を30分間吸入し、吸入の前後で唾液を採取
※アロマディフューザーを10秒稼働し、50秒休止するサイクルを繰り返す、ごく弱い濃度で精油を空気中に噴霧

評価項目・・・唾液中の分泌型免疫グロブリンA(SIgA)の分泌速度、コルチゾール濃度簡略化

【研究結果】

3種類の精油のうち、ベルガモットを噴霧した場合において、吸入後の唾液中の分泌型免疫グロブリンA(SIgA)の分泌速度増加と、コルチゾール濃度の低下が確認されました。

分泌型免疫グロブリンA(SIgA)とは
からだを細菌やウイルスなどから守る、抗体の一種。口腔内粘膜のほか、唾液、母乳、涙、鼻水などの体液に多く存在し、からだの局所で感染症を防いでいる。

コルチゾールとは
副腎皮質から分泌されるホルモンの一つで、過剰なストレスを受けた時に増加するため「ストレスホルモン」とも呼ばれる。

ベルガモットとは
紅茶のアールグレイの香り付けに使用されることで知られている柑橘類。ベルガモット精油は、ベルガモットの果実の皮から抽出される芳香物質です。

【研究詳細】

*「有意差あり」とは、精油吸入前と精油吸入30分後の変化率を比較した際に有意な変化が見られたことを示す

原著論文:枝伸彦 他(2019)「エッセンシャルオイルによる香り刺激が口腔内免疫能に及ぼす影響についての生理心理学的研究」,アロマテラピー学雑誌, in printing

【まとめ】

今回の研究結果により、ベルガモット精油の香りを適切な濃度で嗅ぐことで、ストレスが緩和するとともに、免疫力がアップする可能性が示唆されました。しかしながら、香りの作用については、噴霧する濃度や被験者の香りの好みなどによって差があることが確認されています。今後の更なる研究が期待されます。

枝 伸彦 氏

独立行政法人スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS) 研究員。
早稲田大学スポーツ科学研究科博士後期課程修了。同大学講師などを経て現職。免疫機能を中心とした幅広い内科的な指標を用いて、アスリートのコンディショニングや中高齢者の健康維持増進の研究に従事。

PRTIMESの2019年10月25日の記事(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000005249.html)より抜粋

 

ベルガモット精油は、柑橘系の精油の中でも非常に好きな香りなので、今回の実験結果は興味深いとともに、様々なシーンで活用していくことができそうだと感じました。

今回の実験は、国立スポーツ科学センターの研究に対し、AEAJが研究助成を行なったようですが、確かに、スポーツ選手の合宿時に宿舎の香りとして活用(風邪蔓延防止)したり、大会当日のストレス軽減メリットがありそうだと感じました。

※ベルガモットに関する過去の参考記事を以下に貼ります。

【過去の参考記事:ベルガモットのマーマレードを初めて体験。それをきっかけに日本で国産ベルガモットを栽培している場所があることを知りました。

【過去の参考記事:「アールグレイ」のあの香りは、なんの香りなのか?というお話

 ハーブ・アロマのことに関わっていると、「ベルガモット」という表現をする場合、2種類存在するので注意が必要です。

●柑橘類としてのベルガモット(今回の記事):

※ベルガモットは、ミカン属の三つの原種(ブンタン・マンダリンオレンジ・シトロン)が関与した交雑種だったことが、遺伝子解析で判明したという内容は勉強になりました。

●モナルダ(松明花)の別名としてのベルガモット:

最近、柑橘系に関連する自分の中でのホットなニュースは、先日、生活の木の薬香草園へ行ったときの「ネロリ」に関する情報です。

『橙(ダイダイ)【Citrus aurantium】の花から採れるのが「ネロリ」の精油で、枝葉から採れるのが「プチグレイン」の精油、皮から採れるのが「ビターオレンジ」の精油だったこと』です。

【過去の参考記事:生活の木が運営する「メディカルハーブガーデン 薬香草園」へ行ってきました。【ガーデンツアー編】

ベルガモットの今回の研究についての続報を期待したいです。

 
 
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