「幻の日本薄荷(はっか)」を復活させ、宿場町として栄えた街に新たな観光資源を提供する岡山県の「矢掛ハッカ普及会」。北海道のハッカのルーツは岡山県にある?

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昨年4月、以下の記事で、和ハッカの品種にも色々あることを取り上げました。

【過去の参考記事:ミントの種類を調べたら、「和ハッカ」の品種にも色々あることがわかって興味が沸いてきた件

上記記事の中で取り上げた、和ハッカの品種は以下です。(NAVERまとめより一部抜粋)

これらの品種を見ていた時に、「原産地」が北海道と岡山に集中していることを興味深く見ていました。

そして、今年8月の記事

ハッカ商品で有名な「(株)北見ハッカ通商」のホームページの情報量が多く、とても勉強になります。

の中で、株式会社北見ハッカ通商のホームページにて、冒頭の記事よりも圧倒的に多く”和ハッカの品種”が紹介されていることを知りました。

今まで、”和ハッカ”というとほぼ北海道(北見市)の情報しか、個人的に取れていませんでした。

しかしながら、昨日、岡山県の矢掛ハッカ普及会の「幻の日本薄荷(はっか)」を復活させ、新たな観光資源としているというニュースが入ってきたのですが、

岡山県と和ハッカのつながりについての情報が多く、非常に参考になりましたのでご紹介します。

「「幻のハッカ」復活、宿場町の新たな観光資源に 「矢掛ハッカ普及会」(第5回優秀賞、岡山県矢掛町)」

ハーブの一種で、爽やかな香りが清涼感を誘うハッカ。かつて生産が盛んだった「幻の日本薄荷(はっか)」の栽培を約半世紀ぶりに復活させ、宿場町として栄えた街に新たな観光資源と癒やしを提供しているのが「矢掛ハッカ普及会」(代表・渡辺真さん)だ。

矢掛薄荷蒸留所の室内で作業を進める「矢掛ハッカ普及会」代表の渡辺真さん(65)=2019年8月、岡山県矢掛町
矢掛薄荷蒸留所の室内で作業を進める「矢掛ハッカ普及会」代表の渡辺真さん(65)=2019年8月、岡山県矢掛町

▽「値千金」のエッセンシャルオイル

「倉敷の奥座敷」とも呼ばれ、江戸期の本陣・脇本陣が揃って現存するなど古い町並みが残る岡山県矢掛町。旧山陽道の一角にあり、観光客が次々と足を止めていく先に「矢掛薄荷蒸留所」があった。蔵のような建物の引き戸の先には、金属製の大きなタンクやビーカー、漏斗が並び、理科室のような空間が広がる。乾燥させたハッカの葉を指でもむと、鼻をやさしく刺激するメントールの香りがよみがえり、家族連れの観光客も思わず笑顔になった。

この乾燥ハッカを36リットルのタンクへぎゅうぎゅうに詰め込み、熱した水蒸気を冷却することで分離できるのが、黄金色に輝くエッセンシャルオイル(精油)。3時間以上かかる蒸留で、抽出できる純度100パーセントの精油はわずか20ミリリットルに過ぎないが「エッセンシャルオイルが20ミリリットルあれば、ジェラートなら400個、あめなら200袋を生産できる」と渡辺真さん(65)。根気強く蒸留を繰り返し、エッセンシャルオイルを鮮度のいい内に加工する。本格的に活動を始めた2011年以降、町内外の専門店や食品メーカーと組んで次々に商品化を仕掛けてきた。

渡辺さんから矢掛のハッカについて説明を受け、葉や精油の香りを試す家族連れの観光客(2019年8月、岡山県矢掛町)
渡辺さんから矢掛のハッカについて説明を受け、葉や精油の香りを試す家族連れの観光客(2019年8月、岡山県矢掛町)

▽ハッカがつなぐ人と歴史

大学時代に化学を専攻していた専門知識を生かし、15年に蒸留所を開設した渡辺さんは地元のケーブルテレビ会社「矢掛放送」の社長。視聴者減にもつながる地方の衰退をひしひしと感じていた。「町おこしは地元の宝の掘り起こし。ほかの地域でやっていない面白い取り組みで地域を再生してみたかった」。矢掛町に転居する3歳まで過ごした出生地で、毎年帰省している鳥取県境港市が「妖怪」で町おこしに成功し、変貌を遂げたことにも衝撃を受けた。「昔は矢掛のほうがにぎやかだったのになぜ」。 植物や自然栽培の農業にも関心があった渡辺さんが目を付けたのが、小学生のころに釣りでよく訪れた町内の河原に生えていた、いい香りのする「草」。ハッカはずっと気になる存在だった。

西洋のミントと比べると、日本薄荷は清涼感のもととなるメントールの含有量が多いのが特徴。北海道・北見地方の特産品のイメージが強いが、岡山県南部ではいち早く江戸時代から本格的な栽培が始まったとされ、最盛期は米国・メンソレータム社向けに原材料を輸出する一大産地だった。しかし、人件費の安いインド産や合成品に押されて、70年代までに町内のハッカ農家は絶え、7、8カ所あったという蒸留所もなくなった。「地元で忘れられてしまった『幻のハッカ』で町おこしをしたい」。北海道のハッカのルーツが岡山にあることを取り上げた山陽新聞のコラムも決意を後押しし、10年と16年に町内の河原に自生していたハッカ2種を自ら調査で発見。ガスクロマトグラフィー分析の結果、10年に発見したハッカは英国原産のペパーミントと岡山県産の改良種を掛け合わせた交配種の系統、16年に発見したもう1種は在来の日本薄荷であることを突き止め、前者を11年に「真美緑(しんびみどり)」、後者は「博美人(はくびじん)」としてそれぞれ商標登録した。真美緑は華やかかつすっきりとした甘みもある香り、博美人は矢掛町でのみ栽培されている品種で和のテイストも感じさせる上品な爽やかさ、と個性が異なる。

▽町の観光に癒やしをプラス

活動を始めた11年当初、ハッカの認知度は「ニッキかシナモンか?と混同されるほど」の低さだったが、無農薬・化学肥料不使用にこだわる栽培方法や地元産であることに加えて、ハッカの一大産地だったストーリーが注目され、10種類の商品が次々に誕生した。岡山県真庭市のジャージー牛酪農家でつくる有限会社「醍醐桜」とのコラボレーションで生まれたミントジェラートは、エッセンシャルオイルや摘みたての矢掛ハッカの葉を粉砕してジャージー乳に混ぜ込んだこだわりの商品。香川大が開発した「希少糖」を甘味料に使用した「はっか飴 みっちゃむ 希少糖入り」はすっきりとした味わいで、食後の清涼感も長く持続する。ほのかな甘みが感じられるハッカ茶も人気で、19年産の商品は盛夏を前にして売り切れに。新たにブレンドティーを開発する計画も静岡県内の製茶会社と進む。

岡山県真庭市のジャージー牛酪農家とコラボレーションしたハッカのジェラート
岡山県真庭市のジャージー牛酪農家とコラボレーションしたハッカのジェラート

町内では、収穫期限定で大ぶりな生の葉をたっぷり使ったカクテル「モヒート」を味わえるバーやレストランが増加。蒸留所の隣にあり、イタリア発祥の分散型宿泊施設(アルベルゴ・ディフーゾ)に国内で初めて認定された古民家ホテル「矢掛屋」ではモヒートのほか、ハッカとゆずの香りが漂う風呂を楽しめるなど、矢掛ハッカが街の観光に癒やしと奥行きを与えている。

「ハッカ飴」2種(右)と「矢掛屋」でハッカの収穫期限定で提供されるカクテル「モヒート」=2019年8月、岡山県矢掛町
「ハッカ飴」2種(右)と「矢掛屋」でハッカの収穫期限定で提供されるカクテル「モヒート」=2019年8月、岡山県矢掛町

モヒート用として山口や東京など他県の飲食店からの引き合いも多い。県外へ積極的に売り込んでいた時期もあったが、物販・飲食の複合施設「やかげ町交流館」のオープンで、商品や葉がすぐに消費されてしまう状況もあり「矢掛に直接来て、ハッカと町の魅力を楽しんでもらう」方向に舵を切った。矢掛町ではレストランやカフェの出店が徐々に増えており、ハッカを使ったメニューが増えるよう働き掛けを強めていく考えだ。

▽栽培農家と連携、自然栽培へのこだわり

渡辺さんが大事にしてきたのが普及会の会員でもある生産農家との連携。無農薬・化学肥料不使用での農法に賛同した町内の農家にハッカの苗を提供、文献などを基に栽培方法をアドバイスしている。ホタルが生息するきれいな河川敷で生き延びていたハッカから、最も香りの良い株を選別し、休耕地として10年以上経過した畑に植え替え、さらに香りのいいものを選りすぐるなど、こつこつと苗を増やしてきた。自生地の株を保護するための巡回も欠かさない。

無農薬・化学肥料不使用で育てられている矢掛ハッカ=2019年8月、岡山県矢掛町
無農薬・化学肥料不使用で育てられている矢掛ハッカ=2019年8月、岡山県矢掛町

当初は元ハッカ農家らに苗を提供していたが、故人となり、現在は若手農家2軒が栽培に参加している。その1人で大工職人だった田淵博之さん(42)は「固定種や有機農法で作物を育てたい」とハッカの栽培方法を渡辺さんから教えてもらい、やがて家業でもあった農業を始めた。実父の農園も継ぎ、他品種少量生産で自然栽培に取り組む「旬家ファーム」を運営している。矢掛ハッカの作付面積は2軒合わせて約2反。雑草取りから収穫、茎を束ねて干す作業も全て人力で労力がかかるが、稲作などに比べると大がかりな設備投資の必要がないといい、ハッカ栽培を通じて耕作放棄地の活用や移住者による新規就農も期待されている。

ハッカ栽培に夫婦で取り組む「旬家ファーム」の田淵博之さん(中央)と妻の亜希子さん(右)。固定種にこだわり、除草剤や化学肥料も使わない農法で育てた野菜を毎週日曜、蒸留所近くの古民家の軒先で販売している=2019年8月、岡山県矢掛町
ハッカ栽培に夫婦で取り組む「旬家ファーム」の田淵博之さん(中央)と妻の亜希子さん(右)。固定種にこだわり、除草剤や化学肥料も使わない農法で育てた野菜を毎週日曜、蒸留所近くの古民家の軒先で販売している=2019年8月、岡山県矢掛町

北海道でハッカ製造に従事した経験を詠んだ短歌も残る小説家・金子きみを母に持ち、妻の出身地でもある縁で町に移住した金子晴彦・矢掛町観光交流推進機構代表理事は「宿場町という大きな歴史的遺産はあるが、特産物があまりなかった町がこの5、6年で大きく変化している。ハッカは当時、換金性が高く、日本でもっとも投機的な産物だった。世界的な潮流の先端に矢掛が絡んでいたという観点で町の魅力を見直し、来訪者にこの町の空気感を感じてもらいたい」と矢掛ハッカによる町おこしへの貢献度を評価する。隣接する倉敷市でも12年から別の品種を「倉敷薄荷」として栽培、商標登録。県立高松農業高校(岡山市)では「ハッカ復活プロジェクト」が進行しており、今夏は学校の畑で育てた葉を使ってビールを醸造・発売するなど、特産品化の動きは町外にも広がりつつある。

原則土日に見学できる矢掛薄荷蒸留所(左)。隣はイタリア発祥の分散型宿泊施設(アルベルゴ・ディフーゾ)に国内で初めて認定された古民家ホテル「矢掛屋」。
矢掛薄荷蒸留所(左)は土日に見学可能。隣はイタリア発祥の分散型宿泊施設(アルベルゴ・ディフーゾ)に18年、国内で初めて認定された古民家ホテル「矢掛屋」。旧山陽道には江戸期の本陣・脇本陣が現存し、揃って国の重要指定文化財に指定されている貴重な町並みが残る。

「岡山のソウルフードの『ばら寿司』を原型に、ハッカの葉を入れた寿司も考案したい」と渡辺さんのアイデアはつきない。「きれいな海も高い山もない町だが、歴史という資源はたくさんある。野原に生えていた植物が、歴史や文学も絡んでいろいろな人を魅了し、町おこしに巻き込んでいくのが面白い」。次の戦略は、自然農法を守りながらハッカの生産量を上げ、商品の売り上げを1千万円台に乗せること。栽培農家が経済的に安定できるシステムや販路づくりを日々模索している。「町おこしをビジネスにして、人を雇用できるようにならないと人口は増えない」。古くて新しいハッカが町に新風を吹き込み続ける(共同通信 錦織綾恵)

47NEWS地方紙と共同通信のよんななニュース)の2019年9月29日の記事(https://www.47news.jp/news/4049918.html)より抜粋

この記事の「北海道のハッカのルーツは岡山県にある」という記述は非常に興味深いです。

和ハッカの各品種の”原産地”の部分を見ると「北海道」と書かれたものも多くあるのですが、それらも元を辿ると岡山県に行き着くのか??

「矢掛ハッカ普及会」代表の渡辺真さんに色々と話を伺ってみたくなりました。

私にとってはこの記事を見て、「岡山県」へ行くモチベーションが200%以上アップしましたので、できれば来年、岡山県で和ハッカ巡りの旅をしてみたいです。

渡辺真さんの地道な活動を通じて、和ハッカを地元で栽培をしていくネットワークが広がっているというのは本当に嬉しいですし、今後も注目して追っていきたいと思います。

 
 
 
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