人工知能(AI)技術を、漢方薬の作用機序や新規効能などの予測に役立てる試みについて

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今年5月の過去記事【人工知能で進化を続けるアーユルヴェーダ。インドで起こっている医療革新について】の中で、

ビッグデータによって、インドの伝統医療であるアーユルヴェーダの効果・効能が科学的に明らかになってきており、且つ、アーユルヴェーダ医師を意思決定を支援するシステムが人工知能(AI)によってすでに構築されているという内容を紹介しました。

確かに、

「患者のこの症状に対して、〇〇を処方したら、このような反応を示した」

という情報を統合的にデータベース化して管理することで、効果・効能の予測に役立てることができるので、ハーブ療法の成熟化にとって人工知能(AI)というのは相性がいいと思います。

冒頭の記事を読んだ時に、インドはハーブ療法について非常に進んでいるだなあと感じたのですが、先日、日本でも「漢方」の領域に対して似たような取り組み(AIを活用)をしていることがわかりましたのでご紹介します。

私が、最初にそのことを知ったのは約2年前の以下の記事です。

漢方処方の不確実性をAIで解消する
山口大の浜本氏が「統計学を応用したAI」の取り組み語る

植物や動物、鉱物などの生薬を配合して作る漢方薬。全国に30万人いる医師のうち9割が処方しているといわれるほど一般的な存在となっている。2011年からは全国80大学の医学部全てにおいて、漢方医学の講義が行われるようにもなった。

山口大学 大学院創成科学研究科 教授の浜本義彦氏

しかし、大学の講義では漢方に関する基礎知識のみを学ぶため、「実際の処方は医師が現場で培った経験や勘に依存する場合が多い」と山口大学 大学院創成科学研究科 教授の浜本義彦氏は話す。医師の判断に委ねられることが多いため、漢方薬の処方は不確実性を伴うものであるというのだ。
そこで浜本氏は、処方の不確実性を解消するために、統計学の考え方を実装したAIを活用して、漢方薬の処方をEBM(Evidence based Medicine)化する取り組みを進めている。同氏は分析機器・科学機器に関する総合展示会「JASIS 2017」(2017年9月6日~8日、幕張メッセ)のライフサイエンスイノベーションフォーラム2「次世代ヘルスケアを先導する共創のプラットフォーム」で講演を行った。

専門医の過去データで処方を数値化

浜本氏が着目したのは、不確実性を伴う問題を数量化するという統計的パターン認識の考え方である。例えば、天気予報を例に考えると、「今日は雨が降る」という予報は不確実な情報にすぎない。この情報を「降水確率80%」という数値に表すことができれば、雨が降るという予報と降水確率を踏まえて「傘を持って行こう」と意思決定を行うことができる。これが統計的パターン認識による不確実性の対処法だと同氏は説明する。

これを漢方薬の処方に応用すると、医師の経験や勘が不確実性を伴う部分となる。そこで、漢方専門医による処方の履歴データを用いて処方の妥当性を数値化する。例えば、患者が発熱と頭痛、鼻水の3つの症状を訴えたとする。専門医の処方履歴をデータ化しておけば、これら3つの症状が同時に起きたときにどの漢方を処方することが多いのかを妥当性として数値で表すことができ、最も妥当な漢方薬を探し出すことができる。

医療の現場において、特に「個別化医療に関しては不確実性を伴う判断をする場面が多い」と浜本氏は語る。そのため同氏は、漢方薬の処方だけでなく、創薬における患者の層別化や肝がんの早期再発予測、早期胃がんのリンパ節転移予測、大腸がんの治療効果の予測などへも統計学の考え方を応用したAIを活用することを検討しているという。

例えば、創薬における患者の層別化においては、「複数のバイオマーカーを使って薬の効果が見られるクラスとそうでないクラスに患者を識別するパターン認識問題として考えれば良い」と浜本氏は話す。新薬開発の成功確率を高めたり不要な薬剤を投与することを防いだりすることができる可能性もあるという。

日経デジタルヘルスの2017年9月22日の記事(https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/327442/092100144/?ST=health)より抜粋

 

基本的な考え方は、冒頭のアーユルヴェーダ医療にAIを活用している記事の内容とほぼ同一だと感じました。

漢方薬の処方だけでなく、創薬における患者の層別化や肝がんの早期再発予測、早期胃がんのリンパ節転移予測、大腸がんの治療効果の予測などへも統計学の考え方を応用したAIを活用していくという部分は、今後の医療の質の向上を感じさせてくれる内容で、非常に楽しみです。

実は、つい先週、漢方処方の不確実性をAIで解消する取り組みの成果が出始めていることを感じさせるニュースが入ってきました。(以下)

【和漢医薬学会シンポジウム】AI技術で「漢方薬の再開発」‐作用機序や新規効能など予測

九州工大・山西氏が報告

現在、臨床上で広く用いられている漢方薬の作用機序に関する科学的根拠を解明するため、様々な基礎的研究が進められている。8月31日に富山市内で開かれた第36回和漢医薬学会学術大会のシンポジウム「数理科学・情報科学と生命科学の融合―和漢医薬学研究の新地平へ向けて」では、人工知能(AI)技術を用いて、漢方薬の成分化合物の化学構造情報などをもとに、作用機序や新規効能を予測する「漢方薬リポジショニング」の可能性などが紹介された。

山西芳裕氏(九州工業大学大学院情報工学研究院)は、ドラッグリポジショニング(DR)の問題である薬と疾患の関係を自動的に予測する機械学習(AI基盤技術)の手法「AI創薬システム」を開発したことを紹介した。

[ 記事全文 ]

* 全文閲覧には、薬事日報 電子版への申込みが必要です。

※薬事日報 電子版の2019年9月12日の記事(https://www.yakuji.co.jp/entry74298.html)の一部。

 

上記は記事の一部ですが、薬と疾患の関係をAIで自動的に予測する「AI創薬システム」が開発されたということが書かれています。

AIを用いた漢方の領域における進化も今後目が離せません。

AIとハーブ・アロマの結びつきについては、個人的な関心領域なので、今後も注目していきたいと思います。

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